チューリップの花言葉

今もまぶたの裏でまぶしいチューリップ。 控え室に突然現れた三人娘は何にも変えがたいプレゼントだった。 富山県に初のライブ、ショッピングモールでのラジオイベント。 昼過ぎのカンカン照りの中到着した僕達はクーラーのきくその部屋に飛び込んだ。 ライ…

乳首の透けた孫悟空

いきなり降ってきやがった雨。 靴もぐしょぐしょ、靴下の中までずぶ濡れだ。 傘も持たずに背中を丸め駆け込む人たち。 僕はどっちにしたって汗でシャツが肌に引っ付いてる。 ランニングは夜に限る。 なぜか距離が短く感じるし街のネオンと月と星。 余計なこ…

レモンスカッシュ

僕は何日も曲が書けていない。 曲さえ書ければ死んでもいい、そう思う。 なんで僕は逃げる? 正直な気持を歌にぶつけられない? いいことばかり、カッコつけてばかり。 つまらないこだわりばかりに引っかかってアート気取りだ。 葛藤ばかりで前に進めてない…

沈黙の叫び

僕にとって一番大切なことがわかった。 「愛しむこと」 歌がうまくなりてーだとか、いい詞が書きてーだとか関係ない。 どれだけその瞬間を愛せるかが大切なんだ。 レコーディーングを経験して悩み続けた。 「どうして上手く歌えないんだろう?」 ライブでも…

夏の憧れ

「あれから一年か・・」 隣で花火を見上げるスタッフは去年は出会っていなかった。 一人ぼっちで見上げてた去年。 「来年は誰と見るんだろうね?」 たたら祭りでの野外コンサート。 夕凪が心地よく吹くころ僕達のステージは始まった。 毎年このステージには…

ちりも積もれば

ふとペットボトルの数をかぞえてみる。 ランニングの度に飲み干すスポーツ飲料。 これだけあればイカダを作って無人島にも行けそうだ。 「ちりも積もれば山となる」 デビューして半年、少しずつ「シェフ」が浸透していることを感じる。 八代さんのコンサート…

お月さま

あの子は今日も誰かの胸の中。 僕はといえば買い物籠をぶら下げて明日の朝食のこと考えている。 一つ一つ消えてく街明かり。 ずっとこんな日が続いてゆくようで左手のビニールが心に食い込んだ。 こんな日にかぎって綺麗なお月さま。 黙ったまんまこっちを見…

ぬくもり商店街

大きな公園を一回り。 羽を手にしたように気持が軽い。 僕は今日自転車を買った。 新しい町に移り住んでからというもの電車ばかり。 地理に弱い僕は線路図を見上げポカンと口を開けていた。 久しぶりのノンビリとした日、青空も手伝って気分も上々。 商店街…

太陽のさだめ

前をにらみつける覚悟。 他人の言葉に耳を傾ける謙虚さ。 リリアでのコンサートを終え感じることが山ほどある。 浮かれてはいけない。 何がだめで何がよかったのか? 「音楽だから」とアバウトにことを収めてたら自分をダメにする。 「プロになって何が変わ…

同じ年のヴァイオリニスト

今日僕はヴァイオリニスト室屋光一郎さんの演奏を聴きに行った。 彼とはレコーディングの時知り合い何か共通するものを感じた。 なんと僕と同じ80年生まれの25歳、それでスタジオミュージシャン。 ため息が出るほどのテクニックと音への情熱。 同じ年な…

足は今日も朝日に向かう

日記を書くようになってから自分を見つめなおす時間が増えた。 今何を思い何をしたいのか? ボンヤリ暮らしてた毎日が少し鮮明に見える。 僕はこの場を借りて自分を叱っているんだろう。 「本当にそう感じてるのか?今お前は何をすべきなんだ?」 振り返れば…

苦い果実

僕は人と話すのが苦手だと思う。 「人前で歌って話してどこが苦手なの?」 そりゃそうだ。 けど実際一人でいる時の方が気が楽だしため息もつける。 みんなそうなのかな? 人と向かい合って妙に緊張する。 場をつくろうように三人なら得意だ。 二人になるとど…

ラフティング

渓谷の中、激流に呑まれてきた。 今日生まれてはじめての体験「ラフティング」というスポーツをした。 各自オール一本を武器に8人乗りのボートを操る。 「1!2!」 掛け声をかけながらのチームワークが問われる。 インストラクターが付いているとはいえ最…

夜行列車

今、静岡からの新幹線で東京へ帰る所。 いつも思うけれど、なぜこんなにも夜行の列車は切なく街を映すのだろうか? 夜汽車などがテーマの曲が沢山あるのもうなずける。 知らない土地の見知らぬ人々が暮らす明かり。 ちっぽけな自分の顔が窓に映ってはそれに…

食ショック

キュウリばかりかじってた。 八代さんのバックバンドの方に梅味噌をもらった。 御飯を炊くのも面倒でスーパーに行って3本153円。 ポリポリ毎日のようにかじってた。 「キュウリにはあまり栄養がないのよ」 マネージャーに言われ明日からはキノコを炒めて…

日本一

俺は必ず日本一の歌手になってやる! 具体的にどういったわけじゃないけどシャウト。 「プロデビューして何か変わりましたか?」 質問されるたびに答えてきた「何も変わりありません」。 今思えばなんてつまらない答えだろうかと思う。 何も変わっていないの…

夏が来る

僕の今年の目標はトライアスロン完走と・・。 そう、紅白歌合戦出場。 残りカウントしてみると166日だった。 う〜、思ったより少ない日々。 しかしこんな日数なんかに負けないぞ。 上を目指し続けることを止めなけりゃ、いつか。 ちくしょう無常の雨が今…

心の風鈴

音のない暮らし。 ヘッドフォンで塞いでた心の耳。 知識としての音楽を放棄。 一日中、風と話をしてた。 隣近所から聞こえてくる話し声や車の音。 洗濯物が揺れている。 今日は一日休みだった。 1人暮らしを初めてはじめて音楽を放棄してみた。 毎日耳に差…

空っぽの冷蔵庫

1人暮らしを初めて約一週間がたつ。 柔軟剤を入れすぎた洗濯機や何も入ってない冷蔵庫。 窓から見える満月にさみしさを映し出してみる。 新しいマラソンコースを見つけた。 山手線が追い越していく坂道を登り都会のネオンに呑まれる。 汗だくのTシャツはあ…

遺伝子の夢

沢山の失敗が一度の成功につながるなら「意味のない失敗」などない。 ワールドカップ初戦、日本は3対1で敗れた。 ビールとせんべいにかじりつきながらテレビの前で吠える父親。 パジャマ姿で悲鳴を上げる母親。 ヨーグルト片手にスプーンを握り締める僕。 …

新しい町

月が綺麗過ぎると儚さが薫る。 橋の上、走りながらダイヤのように並ぶヘッドライトを見た。 「これからの僕はどこに行くんだろう?」 入梅のニュースを聞いて窓の外、昨日から降り続く雨。 僕は今日、地下鉄に乗って1人暮らしをするための家を探しに行った…

足りないパズルの1ピース

スポンジをしぼればまた水を吸う。 満たされていては得られないものがある。 恋をすると人は切なさを感じる。 それはたぶん新しい空白が感情の中にできるからだ。 今まで支障なく暮らしてた毎日にふとできた穴ぼこ。 それは好きな人がぴったりはまる形。 そ…

神の降臨

・・とは昨日の日記に書いたものの、今日迷う自分もいる。 「歌うために生まれてきた」 言ってはみたけど自分の歌でいったい何が伝えられる? 毎日ここのところ曲作りの生活。 「昼真っからブラインド下げて工藤さんちの子引きこもり?」 近所のひそひそ声が…

歌少年

歌うことが好きだ。 何も考えないで無重力になる。 「何で歌っているの?」 聞かれても「好きだから」としか言えない。 なぜ僕はエレキギターじゃなくフォークギターを握ったんだろ? あれは中学二年、「XJapan」が全盛期だった頃。 やはり憧れはメン…

○と━

今、夜中の2時。 ふと曲を考えながら夜空を見た。 網戸から涼しい風が流れてくる。 スタンドライトだけの部屋。 救急車のサイレンが通り過ぎていった。 さびしい本当を見つけた。 「時間なんてないんだよな本当は・・」 一日は24時間。 一年は365日。 …

諸刃の剣

僕がこの日記を書くとき正直「葛藤」がある。 気持が弱っているとき書くことができない。 「気楽に書けばいい」と誰かが言う。 けれど本音はどこかで誰かを傷つける。 今日、僕は待ちに待った「NHK歌謡コンサート」に出演した。 家に帰ってきてVTRをチ…

今日初めて生の落語を聞きに行った。 2千人近く集客できる大ホール、僕は二階席の一番前。 客層の大半はやはり白髪交じりのジっちゃんバっちゃん。 しかし以外にも若いカップルもいたりした。 「どんな演出」「どんな客層」をすかさずチェック。 ブザーが鳴…

7年ぶりの再会

何にも変わってないと思った。 夜8時、久しぶりの声が電話から聞こえてきた。 「工藤いま何してんの?」 外にいたので折り返し連絡することを約束し切った。 ファミレスにいたのは相も変らぬ三人だった。 渡辺、中村、藤田、約7年ぶりの再開。 12時近く…

カミキリムシ

やることのない日は土手を歩く。 陽射しに溺れてしまいそうな太陽の下 すれ違う犬に道をゆずった。 行く当てもないから公園へ行き 野原を下に居眠りをした。 腕の痛みにビックリしたら 真っ黒なカミキリムシが 駄々をこねるので振り払い 背中の草をはらって…

「まっいっか」

僕は小さい頃エレクトーン教室に通っていた。 年に一回の発表会が嫌いで嫌いでしょうがなかった。 順番待ちをしてるときなんか足が震えて仕方なかった。 「次は工藤慎太郎君です」 階段を目まいを起こしながら上っていく。 カチカチになったお辞儀をして汗び…