夜行列車

今、静岡からの新幹線で東京へ帰る所。
いつも思うけれど、なぜこんなにも夜行の列車は切なく街を映すのだろうか?
夜汽車などがテーマの曲が沢山あるのもうなずける。
知らない土地の見知らぬ人々が暮らす明かり。
ちっぽけな自分の顔が窓に映ってはそれに重なる。
まだまだ知らないことがある。
まだまだやるべきことがある。
「どうして生まれてきたのか?」
何か僕に使命があるならば、やっぱり歌で何かをすることなんだろうか?
イスを倒して目を閉じる。
新幹線が闇を切り裂く音が聞こえる。
明日に僕を運ぶ為、地が鳴り風が叫ぶ。
何も変わっていないようで大きく変わりゆく今。
鼓動が走る。
刻一刻と命の弦を擦り減らし奏でる激情のセレナーデ。
「たいしたもんでもないのに‥」
鼻で笑ってごまかしたってわかってるんだ。
何かが確実に変わっていくことを。
まるで地表の下でうごめくマグマのように。


☆紅白まで残り161日☆