遺伝子の夢

沢山の失敗が一度の成功につながるなら「意味のない失敗」などない。
ワールドカップ初戦、日本は3対1で敗れた。
ビールとせんべいにかじりつきながらテレビの前で吠える父親。
パジャマ姿で悲鳴を上げる母親。
ヨーグルト片手にスプーンを握り締める僕。
日本中の家族という家族が息を呑みハラハラする。
その中で将来必ずワールドカップに出場するであろう遺伝子がいる。
試合後、選手達の悔しさに立ち尽くす姿をじっと見つめる少年。
きっとこの悔しさは未来の喜びに引き継がれるはずだ。
僕はレコーディング、ライブ、作曲とさまざまな経験をした。
一つ一つがまだスタートライン。
失敗をして自分を知っていく。
悔しい思いをして自分を愛せていく。
負けという結果を見つめればそれはマイナスだろう。
けれどその先にあるものは果てしなく大きい。
先人達の失敗の中から生まれた沢山の名曲達。
それが今の僕を動かしているなら、僕だって未来に夢を届けられるかもしれない。
「Message」という曲がある。
「♪幾千もの夜を越えて星が瞬くように僕達の命もまた誰かを照らす光になる」
僕の願いであり、過去の人々への感謝の念が込められている。
ため息をつくことは誰にだってできる。
そこからどう動くかだ。
失敗してももう一度チャレンジするか諦めるか。
僕は前者を取りたい。
意味のない失敗など一つもない。
意味のない過去など一つもない。