沈黙の叫び

僕にとって一番大切なことがわかった。
「愛しむこと」
歌がうまくなりてーだとか、いい詞が書きてーだとか関係ない。
どれだけその瞬間を愛せるかが大切なんだ。
コーディーングを経験して悩み続けた。
「どうして上手く歌えないんだろう?」
ライブでも「いい歌って何?」って悩んだり。
電車の窓から月が見えた、綺麗だなって思う。
一人暮らしのドアを開ければ蜘蛛の巣が張ってある、今日もクモさん元気だなと思う。
上を上を見ているうちに自分を見失ってしまうことがある。
一日を悩んで終わる日もたまにある。
けど違うことに気付いた。
本当に人を愛したら「大好きだ!」って叫ぶんじゃない。
「好きだ」
無言のような沈黙の叫びになる。
歌も一緒なんじゃないか?
人を抱きしめるとき真綿で包むようにギュッと抱くんだ。
何がよくて何が悪いなんてことじゃなく、僕は「愛しているか愛してないか」で歌いたい。
言葉の花をつむいで心に活けていく。
大切なことはきっとそういうことじゃないかと思う。
どこかからかトランペットの音がする。
学生達が夜まで練習しているんだな。
静かな風に紛れて胸に染み込んでくる。