2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧
ライブ後の控え室、暗闇の中灯る数本のロウソク。 6畳ほどの部屋の中、8人の大人が肩寄せ合いその光を見つめていた。 「♪ハッピーバースデー慎太郎」 溢れくる感激、一気に吐き出すようにケーキの上の灯を思い切り吹き消した。 巻き起こる拍手。 途中で涙…
「愛される」ということは大変なことなのかもしれない。 来年デビューするにあたって一番怖いことがある。 「自分はかわらなくても、回りの見る目がかわる」ということ。 自分でも反省しているが、テレビに出ている有名人を一目見て「性格嫌い」とか判断して…
「緑色の水の中で金魚を飼ったら?」 緑色になるわけはない。 けれど人間は違う。 悪い環境の中にい続けるとその色に染まっていく。 「天狗になって終わってくタレントなんて腐るほど見てきたよ」 コンサートの打ち上げ中に酒を酌み交わしながらスタッフと話…
「慎太郎がもしスターになってお金をかせいだら両親にまず何を買ってあげたい?」 八代亜紀さんの潤んだ瞳が僕を見つめる。 静まり返る会場、照らすスポットライト。 「父親の頭に髪を植えてあげたいです」 その瞬間、八代さんの腰は浮き上がり会場は笑いの…
今日は喉が痛くて寝てた。 風邪をひいたらしい。 「プロの第一条件は体が丈夫なこと」 あ〜ぁさっそくプロ失格だな。 そういえば小さい頃、風邪をひくと母親がおでこに手をあてて熱を確かめてくれたっけ。 ここぞとばかりに甘えても母親はその通りにしてくれ…
ライヴって本当に面白い。 何度やったって同じ歌は唄えない。 一度きりの「生」がそこにある。 昔僕は上手く歌うことだけに気をとられていた時があった。 何をトークで喋ろうか、どんなふうに間を埋めようか、そんなことばかり。 けれど聴きに来るお客さんは…
小雨の夜道を走る。 濡れた髪と張り付いたシャツ。 煌々と照らす街灯の下、雨粒達が作る斜め模様がとても綺麗だった。 僕の右手には最近買ったばかりの「iPod-nano」(デジタルオーディオプレイヤー)。 ヘッドフォンからは昨日レコーディングしたばかりの「…
その手は大きかった。 「よろしく」 ギュッと握られた手からは世界を唸らす貫禄と情熱が伝わってきた。 今、僕の目の前にはあの日野さんがいる。 テレビで見ていた時と同じような髭、笑うと下がる優しい目尻、そして取り出した鈍い金色のトランペット。 今日…
潮の香りをはらんだ生ぬるい風。 ヘッドライトを点しながら、来ない客をタクシーの長い列が待ち続けている。 鹿児島サンロイヤルホテル11階。 繁華街ではないのだろう、僕はコンサートを終えベランダからちっとも冴えない夜景を眺めていた。 昨日最後を迎…