ラフティング

渓谷の中、激流に呑まれてきた。
今日生まれてはじめての体験「ラフティング」というスポーツをした。
各自オール一本を武器に8人乗りのボートを操る。
「1!2!」
掛け声をかけながらのチームワークが問われる。
インストラクターが付いているとはいえ最近の天候。
川の水かさが増し流れが速くなっていた。
いざライフジャケットを装着、ヘルメットをオン!
まるでテレビゲームの「ボンバーマン」のようなスタイルでボートに乗り込む。
初めは楽勝楽勝と鼻歌交じりだったが、だんだんとそのメロディーは絶叫へと変貌していくのであった。
女3人男5人、その内2名はメッチャ体格のいいヘビー級の肉体。
おもしろ半分で席替えをしてその2人が一番前に座ってもらった。
するとボートが滑る滑る、急な段差のスリルは3倍にも4倍にもなった。
そして忘れもしない事件が起こる。
「では、最後におまけで特別コースをご案内します」
インストラクターの元気な声に後押しされテンション上がりっぱなしの僕たち。
遠くで白い波の立つ急流ポイントを目指した。
雲の隙間からゆっくり見えはじめた青空、肌寒かった風が今は心地よい。
「さー行きますよ」
僕たちは指示に従いオールをこいだ。
全力とも思える力と体重で水をかく。
その時だった、急な段差が見えたとたんボートが折れ曲がった。
何が起きたかわからぬうちに僕の背中に誰かが飛んできた。
僕は中央、すかさず後ろを振り向くとさっきまで後部にいたインストラクターが僕の隣でふんぞり返ってるではないか。
あまりのショックにゴムボートが折れ曲がり直角状態になってしまったのだ。
必死のインストラクター、前の2人は大笑い。
「1人落ちました!」
後ろを振り返ればボンバーマンの頭と手だけが激流の波間に見え隠れしている。
離れていくボート、流れていく一本のオール。
インストラクターが手をのばし捕まえたライフジャケット。
びしょ濡れのボンバーマン
引き上げられたその人の顔は、スマイル。
「意外と楽しかったよ」
僕たちを襲った最後のアクシデント、岸に上がりながら腹をかかえ笑っていいのやら引きつった顔をしていいのやら。
友達と行った川くだり、今度行くときは体重制限を設けメンバー選びをしようと思う。


☆紅白まで残り160日☆