最高傑作

小雨の夜道を走る。
濡れた髪と張り付いたシャツ。
煌々と照らす街灯の下、雨粒達が作る斜め模様がとても綺麗だった。
僕の右手には最近買ったばかりの「iPod-nano」(デジタルオーディオプレイヤー)。
ヘッドフォンからは昨日レコーディングしたばかりの「シェフ」が流れていた。
端から見ればおかしな奴がランニングしてると思っただろう。
泣いたり笑ったり、はたまた夜空を見上げてみたり。
僕に沢山のことを教えてくれたこの曲。
初めはシェフの冗談から始まった。
「俺の為に曲作ってくれよ」
僕はこの曲を10分で書き上げ、またまた冗談のつもりでシェフに聴かせた。
運命はどこでどうなるかわからないものだ。
来年発売されるこの曲には無限の可能性があると僕は信じている。
こんな不器用でかわいい曲はない。
いつか僕の元を離れ全国の人の胸の中に巣立っていくんだろう。
「慎太郎、いつものいつものやつ歌ってくれ」
マイクを前にして泣きながら歌い、何度もやり直した歌録り。
そのかいあってか最高のものができあがった。
来年1月25日、この曲が全国の希望となるように祈り歌い続けたい。