鴨南蛮の逆襲!

僕の大好物の一つに「鴨南蛮」というものがある。
鴨のだしと甘辛いつゆがそばにからんで美味い。
日本は食文化が進んでいるというが、やっぱり日本はすごいと鴨南蛮に気付かされたことがある。
僕がイギリスに留学していた時の話だ。
日本の両親に「日本に帰ったらまず鴨南蛮を食べたい」と手紙を書いた。
実際イギリスの食事がまずいとか飽きたとかではなっかったが、やはり日本の食事が恋しかった。
1年間の留学を終え日本の家に着くと約束どおり「鴨南蛮」を口にした。
しかし、飲み込めないのだ。
あれ?どうしたんだ?
自分でも不思議だった。
口の中の唾液という唾液が口いっぱいに溢れ、口の中が痛いぐらいだった。
それに口にそばを入れたとたん顔中の筋肉がゆるみ笑うのを止められなくなった。
「くォォォ(爆笑)」
自分が狂ったかと思った。
笑いがおさまるまで5分、口の中のそばが飲み込めなかった。
僕はあまりもの美味しさに発狂したのだ。
こんなにも自分は日本の食を欲しがっていたのかとびっくりした。
結局、その鴨南蛮を口にする度「ウキョー!」や「ポー!」と叫び、食べ終わった時には目から涙が溢れていた。
みなさんはこんな経験をしたことがあるだろうか?
涙が出るほど美味しいものを食べたことがあるだろうか?
日本に住んでいると当たり前になってしまっている食文化。
とんでもない国に僕達は住んでいるのだ。
テレビをつければ毎日のように食の話題で盛り上がっている。
外国人が日本に来てまずびっくりするのが日本人の食に対するこだわりだという。
知り合いの外国人が「レストランのメニューの写真にビックリした」と言っていた。
そーいえば海外のレストランのメニュー表に写真がのっているのを見たことがない。
僕達が普通だと思っていることが海外から見れば異常なことだったりもする。
常識は海外の非常識。
僕達が当たり前だと思っていることがどんなに幸せなことか。
日本人が手を合わせ食事の前に言う。
「いただきます」
英語で何て言うんだろう?と考えたけれど結局みつからなかった。
日本人は昔から食に対して感謝の意を込めて手を合わせてきた。
しかし、現在僕達はどうだろう?
「いただきます」
ちゃんと気持ちを込めて言えているだろうか・・
鴨南蛮がそのうち怒り出すぞ。