ピアニッシモ

楽器ってそのプレイヤーの性格を表すなって思う。
今日は渋谷で30日に行われるライブのリハーサル。
ギターとピアノだけといったシンプルな形。
音が少ない分、吐息だって一つの楽器になる。
鼓動が届くかな。
僕の横でピアノを弾いてくれるのは杉村先生。
僕のボイストレーニングの先生だ。
「言葉は想いの後についてくる」
やる前まではあまり乗り気がしなかったトレーニング。
けれど先生と出会って歌うことの根本を学び、確実に成長している。
熱いフライパンに触れたとき人は無意識に「熱い」と言う。
おいしい御飯をたべて意識もせずに「美味い」と叫ぶ。
それと同じように歌もイメージすることが肝心なんだとわかった。
先生の弾くピアノは優しい。
なんでこんなに楽しそうに弾けるんだろう?と思う。
実は先生、バーのラウンジでピアノを弾く仕事もしている。
コッソリ覗きに行った僕はおもわず涙した。
「この人は音楽を愛している」
一つの音を出すときもなんて愛おしそうに鍵盤に触れるのだろう。
なぜこの人はこんなにも音楽を愛せるんだろう?
切ないほど僕の胸を締め付けたのは優しさだった。
もちろんリハーサルは言うまでもないくべリーグッド。
来てほしいときに来てほしい音が来る。
僕の感情をなぞるように激しくそして切なく。
「あぁ、なんて音楽っていいんだろう」
最近見失ってた感情がまた動き出してる。