焼肉ホイホイ

窓から流れてくる風は焼肉の匂いがする。
心地いいのか腹ただしいのか胃袋が泣いている。
今日は夕方まで箱根にいた。
そう八代亜紀さんのアトリエ「八代山荘」に。
あっちに行って車を降りた瞬間まるでクーラーが効いているような錯覚を覚えた。
「夏・・だよな?」
♪温度もねー湿度もねー風は優しく吹いてくる、オラこんなとこ住みてー♪
鼻歌も軽く天を仰いだ。
スタッフに囲まれ食事、まるで大家族のような風景。
ここぞとばかりに美味しい手料理に舌鼓。
一人暮らしに戻ればまた素材を活かした食事が待っている。
そう手を加えない素材を活かした食事・・。
星を見に行った。
山頂の駐車場に寝っころがって幾億の光とにらめっこ。
「まるでプラネタリウムのようだ!」
ロマンチックを壊す冗談も妙に的をえている。
自然の迫力は人を無口にする。
「すげー」だとか「うぉー」もなく、ただ無力さと神への敬意がそこにはあるだけ。
帰り道、車に乗ってヘッドライトを試しに消した。
真っ暗なただ真っ暗な闇。
昔の人たちはこんな中で暮らしてたのか?
背筋もゾッとし山荘へ超特急。
沢山の夢を枕に僕達は眠りにつくのであった。
八代山荘2泊3日の旅を終え、僕は部屋の片づけをしこう日記を書いている。
が、それにしても焼き肉くさい。
僕に恨みでもあるのかと思えるほど風は向かい風。
こんな時誘惑を断ち切ってくれるのはランニングや。
ストップ唾液。
街の喧騒に包まれて孤独のマントをひるがえす黄金バットになるんや。
さっ着替えた着替えた。