カタツムリの孤独

「46個の完全な染色体になりたくて男と女は求め合う」
僕が読んだ本の中にこう書いてあった。
人は男女共々23個の染色体を持って生まれ、残り半分の染色体を求め異性を求めるらしい。
「愛」と呼ばれるロマンチックな感情はただの染色体のメカニズムでしかない。
寂しいけれどそれが真実。
最近僕は「寂しさ」について「孤独」について考える。
どんなに激しく求め合っても一つになれないのに人は抱き合う。
神様はどうしてこんなややっこしく僕達を作ったのだろう。
もし人間をカタツムリのように一つで二役の便利な体にしていたら嫉妬や憎しみによる争いはなかったんじゃないだろうか?
神様は人が争いあう姿を上から見て楽しんでいるのか?
けれどこの世には何かしら「そうである」理由があると思う。
なぜ男と女の二つに分けたか?
答えはたぶん「進化」にかかわってくるのだろう。
より強い子孫を残すため人はややっこしい動物になっているんだと思う。
だけど、僕は「進化」なんかよりこの寂しさをどうにかしてほしい。
夏の夜空を見上げれば死にたくなるほど孤独になる。
人が沢山いればいるほど心細くなってくる。
最近自分の念願のプロデビューも決まり順風満帆だと思っていた矢先、とんでもない孤独が僕を襲い始めたのだ。
どこから来る孤独なのだろう?
原因をさがしてもわからない。
自分の感じてないストレスが不眠症を引き起こしているのも確かだ。
「何を怯えているの?」
僕の中の少年がひざを抱えながら一人さびしく震えている。