旅の途中

新幹線に乗っている。
今日は栃木県大田原市で行われた「与一祭」というイベントで歌ってきた。
宇都宮発最終列車。
窓の外は暗く、オレンジのネオンがポツリポツリ続いている。
隣に乗客はいない。
僕は靴を脱いで隣のギターを見る。
「とうとう新幹線に乗ってまでライブをやるようになったか‥」
まるで人ごとのように旅気分の自分につぶやく。
音楽を本格的に始めて早八年、沢山の経験を音楽にさせてもらった。
その中でも「旅」という経験は歌手という仕事だからこそというものだろう。
街から街へ僕は元気というお土産をぶら下げて待つ人の元へと飛んでいくのだ。
「歌ってて本当によかった」そう思える時はこんな風に窓の外、静まる街を見ながらボンヤリとしているときなのかもしれない。
「次は大宮ぁ大宮ぁ‥」
さぁ行こう次の誰かが待つ街へ。