リゾート気分

朝5時に目が覚めてしまった。
お腹が空いていたので冷蔵庫をあさる。
肉まんをレンジで温め、ビンの牛乳を持って玄関を出た。
外はまだ薄暗く、昨日の小雨のせいか少し肌寒かった。
バス停の横の石段に腰かけ肉まんを頬張った。
通り過ぎるバスの運転手と目が合う。
「なんで外で肉まん食ってんだ?」
自分でもよくわからない行動に少し笑った。
最後の一口を一気に牛乳で流し込んだ。
空は曇り。
鳥一匹飛んでやしない。
けど僕なりの贅沢、外で朝食なんてまるでリゾート気分だ。
ホテルラウンジのフレンチトーストとバス停の肉まんの違いはあるが、たいしたことではない。
ここに波の音でも聞こえてくればもうワイキキビーチ。
そよ風になびく椰子の木、ハワイアンにあわせ腰振るダンサー。
牛乳の白いひげをつけたまま目を開ければ、そう!ただのバス停。
現実逃避もここまでくれば才能だ。
明日は近くの公園で肉まんを食べよう。
ブランコという名のファーストクラスに乗り込み、悠々と空の旅を楽しむのだ。