アーティストと歌手の違い

「上手いなぁ・・」
ビデオを見ながらウットリため息をつく。
表情、歌声、そしてSOUL(魂)どれをとっても一流だ。
「慎太郎君」と呼ばれたあの日から僕は彼女に恋をしている。
八代亜紀さん。
今週のNHK歌謡コンサートでの彼女の歌は最高だった。
他の出演者と比べると一つ頭が飛び出している気がした。
彼女だけが「歌わされている」ではなく「歌っている」そんな気がしたからだ。
シンガーソングライターの演歌歌手の方は少ない。
作家からいただいた歌をうたう、そんなパターンが主流の中、他人の曲をいかに自分の歌にするかが最大の課題であろう。
背伸びをしてみたり、上手くテクニックを使ってみたり。
しかし歌はそんなものでは感動を与えられない。
リスナーは即座にウソを見抜く能力に長けている。
どうしたら自分の歌にできるか?
答えは簡単だ。
気持ちよく歌えばいいのだ。
自分なりにその歌を楽しめばいいのだ。
悲しい歌を悲しく楽しみ、切ない歌を切なく楽しむ。
言葉じゃ簡単だが、実際難しい。
それを無意識にできる人が本物のプロ歌手だと思う。
そう、僕が八代亜紀さんに惹かれる最大のポイントはそこなのだ。
自分以上でもなく自分以下でもなく、無理なく歌をうたっている。
きっと彼女は歌手でなく一人のアーティストなのだと思う。
彼女が絵を描くのは有名な話だ。
きっと絵を描くことからも多くのことを学んだに違いない。
「歌う意味、人生の意味、大切なもは何か?」
他の歌手と一線を画す理由はそんな所にあるのだろう。
「目標は大きいほうがいい」
彼女の自伝の本にはそう記されていた。
では尊敬の意味もこめて、ここで僕の目標を発表しよう。
来年、紅白。