卒業アルバム

高校を卒業し、同級生とも離れ離れになった。
連絡は途絶え、友達のいない生活に慣れていった。
うわべだけの会話、都合あわせの笑顔。
自分を殺すことを覚え「これが普通なんだ」と自分に言い聞かす。
電車の中、鉄橋から見える真っ赤な夕日を眺める。
コンビニのレジに「ありがとう」も言わず、レシートを受け取る。
「いつか使う・・いつか」そう思い家に増える白いビニール袋。
夢などみない。
傷つくのはもうまっぴらだ。
今日も星空はボンヤリと窓の外に続いている。
理想の自分、現実の自分。
そのギャップにいらつき舌打ちが癖になる。
天井を穴が開くほど眺め、眠気がさらってくれるのを待つ。
いつの間にか朝。
愛していない仕事のため、愛のない食事を取り、愛のない人にもまれる。
「このままでいいのか?」
責任と将来を何度も天秤にかけ何度も同じ答えをだす。
抜け出せない現実。
いつからか自分の生活を一変させてくれる出来事を待つようになる。
いっそ世界中が不幸になればと願う。
「あきらめない!」
TVドラマの台詞に腹を抱えて笑った。
「バッカみたい・・」
くだらない青春、青臭い恋。
たまに開く卒業アルバム。
最後のページの寄せ書き。
あの日描いてた未来の自分。
もう一度やりなおせるかな?
自分を好きになれるかな?
純粋を気取る自分を鼻で笑って目を伏せた。