美女より団子

料理ができる人はすごい。
昨日ライブハウスのママがご飯をご馳走してくれた。
「甘煮のきんぴら牛丼」
甘辛く炒めたきんぴらと牛肉がホクホクご飯にのっていた。
食欲を誘う甘い香りが鼻をくすぐり、横に添えてあるキュウリの漬物が「いらっしゃいよ・・」と艶めかしく手招きする。
「たまらんたまらん♪」
思わずリハーサル中、マイクにヨダレを垂らしそうになる。
「いかんいかん歌に集中・・」
しかし、僕の頭の中では審議が始まっていた。
「牛丼がいいと思う人は手をあげてください!」
「ハイッ!牛丼がいいと思います!」
こんな時だけハキハキと答えるミニ工藤達。
「牛丼97人!歌3人・・よって牛丼の勝利!」
議長が叫んだ時、僕はすでに割り箸を割っていた。
「いただきまーす」
ママが嬉しそうに笑っている。
「こんなものでごめんねェ」
僕は口をいっぱいにしながら「ふぉんなことないでふよ」と手を振った。
そこには笑顔が溢れていた。
美味しいものは人を幸せな気持にさせる。
そんな幸せを作り出せる人を僕は尊敬してしまう。
「結婚するなら絶対料理上手い人ですね」
最近、料理ができない女性が増えているらしい。
僕にとって結婚難の時代が始まったようだ。