未来に埋まる埋蔵金

「どうしたらいい曲が書けるだろう?」
シンガーソングライターになって早8年、毎日この悩みと格闘している。
しかし、そもそも「いい曲」とはなんだろうか?
意見は分かれると思うが、僕が思う「いい曲」には一つの共通点がある。
「切ないメロディー」
僕はポールマッカートニーが大好きだ。
彼の曲のメロディーはどれも切なさを感じる。
では「切なさ」とはいったいなんだろう?
戻れぬ過去。
叶わぬ願い。
手をのばしても届かぬ想いのことを人は「切なさ」と言うのだと思う。
いい曲を聴いた時、懐かしい感情になったりするのは「切ない」からじゃないだろうか。
「いい曲はいつもどこか懐かしい」
人は誰も傷を背負って生きている。
失敗し、自分を責め悔やみ、そして受け入れ前向きに生きていこうとする。
しかし傷は消えない。
音楽はそんな人々に「いいんだよ、大丈夫だよ」と教えてくれる。
同情するでもなく、慰めるでもなく・・。
人が音楽を求め続ける理由はそんな所にあるのではないだろうか。
僕は最近思う。
作曲とは「作ること」ではなく「見つけること」なんじゃないかと。
人の体の中に元々流れているメロディーを形にしてやる作業、それこそが本当の作曲なんじゃないかと。
切なさを感じて初めて「いい曲」だと思えるのならば、人の痛みがわからない奴に「いい曲」は見つけられない。
人の痛みのわかる人間だけが「いい曲」を見つけられるのだ。
僕の未来に埋まっている埋蔵金
スコップだけでは見つけられそうもない。