幸せ筋肉痛

俺は運動が大っ嫌いだった。
特にマラソンなんて宇宙一嫌いだった。
小学生の頃どうやってマラソン大会をサボるかを一年中考えていたぐらいだ。
けれど人間は変わるものだ。
イギリスに留学した時、何を思ったのかランニングを始めたのだ。
住んでいた町には海があって、そこまでおよそ2Km距離にすればさほどではないが、運動嫌いだった自分にとっては大きな挑戦だった。
毎日夜走った。
雨の日も風の日も霧の日も・・
帰国後も家の近くの土手を走った。
どんどん走れる距離が長くなり、走らない日があると体がムズムズしてしょうがなくなった。
ある日ハーフマラソンに出ることになり、気が付いたらお金を払ってまで走っていた。
人間は変わるものだ。
いまもマラソンは続けている。
1時間半かけて10Kmをゆっくり走ると程よい汗と疲れが気持ちいい。
何の為に走るかはっきりした答えはないけれど、あえて言うならば
「自分を好きでいる為」
どんなに慣れてもランニングは疲れる。
その時立ち止まるか、走り続けるか、自分の中で葛藤がおきる。
走り続けゴールした時、
「今日もよくやった」とほめてあげる。
そうやって毎日自分を愛してやる為に走るのだ。
世の中には人生のほとんどを「挑戦」に費やす人がいる。
山登りやヨットで世界一周などさまざまあるけれど、みんな「挑戦する自分」が好きだから挑戦するのだ。
人に言わせりゃ奇人かもしれない。
けれど本当の幸せってそーゆーことなのかもしれない。
「自分を愛せる幸せ」
こんなはずじゃないと思って生き続けるのは寂しい。
今の自分をあきらめるのではなく受け入れて、少しずつ挑戦していくことが大事なのだ。
人間は変われる。
小学生の自分が、今の俺を見たらどんな顔をするんだろう。