光のトンネル

朝焼けの中を列車は走る。
流れる雲を追い抜いて高速で過ぎていく広島の景色。
立ち昇る太陽が山の輪郭を赤く染め今日という日の始まりを燃やしている。
今日、僕は山梨へ行く。
昨日の広島でのコンサートを終え、つかの間の打ち上げの後ベッドに潜り込んだ。
熱いシャワー、湯の出てくる穴を見つめて立ちつくす。
心地よい疲れが皮膚の下を支配している。
朝5時起床。
ギターを背負った一人の男がまだ薄暗い街のショーウインドーに映った。
「どこへ行くんだろう?」
不安ではなく鼓動が乱舞する。
旅なんて言えたもんじゃないけれど待つ人の元へ歌を届ける感動。
なぜ僕はプロの歌い手を目指したか今ははっきり見える。
太陽が街を照らす。
こんなとき胸に米粒をこぼしながら弁当を食う自分の横顔が頼もしい。
線路は続く永遠に。
目を細めても突き刺さる太陽の破片達よ僕をもっと燃やしてくれ。
チリチリと焼けるハートが両手を広げ泣き叫ぶ。
命の衝動
赤子の時はじめて見開く眼のように視界を埋め尽くす無限の孤独を照らせ。