完走の感想

生まれて初めて1.5㎞海で泳いだ。
生まれて初めて自転車乗りながらバナナを食った。
生まれて初めて両足肉離れを経験した。
そして、生まれて初めてトライアスロンを完走した。
小雨の中鳴り響いた銃声、緊張感の糸を断ち切り未知の世界へといざなう。
孤独じゃなかった。
道端で応援する子供達、太鼓を叩き笑うおばあちゃん、そして両手に広がるサトウキビ畑。
こんなにも苦しみが楽しかった経験はない。
レースが始まる前、僕は仮設トイレに入りしゃがみこんだ。
「ふーんっ」
隣のトイレから聞こえる力み声、オナラの音。
僕も負けじと叫ぶ。
みんながみんな頑張っていた。
そんな熱が石垣島を揺らした。
「なんてバカげててなんて愛しいんだろう」
お金を払ってまで疲れに石垣島にみんなやってくるのだ、冷静に考えたらバカ以外のなんでもない。
けれど生きてること自体実はバカげたことなんだ、生まれて死ぬまで理由もなく生きていく僕達。
そんな中トライアスロンに挑戦、そして応援しようとする人々が愛しくてたまらない。
「生きてるって楽しいな」
沖縄の喜びの讃歌、エイサーが街のあちこちから鳴り続けていた。