気ままなDJ

くやしいな。
ラジオの一人語り、考えるのとやってみるとじゃ雲泥の差だ。
僕は小さい頃からラジオが好きだった。
好きな女の子が聞いてるラジオをこっそり布団の中で聞いた。
大人の甘酸っぱいかおりがした。
いつのまにか個人的にラジオにドップリはまっていた。
「俺だったらこう喋るな」
生意気に自分がパーソナリティになる夢を見た。
そして今僕はその夢を掴みスタジオの中マイクと向き合っている。
何も浮かばない。
何を喋ればいいんだろ?
少年の頃に描いた夢はあんがい難しいことに気付く。
「北海道STV工藤慎太郎のビーアンビシャス!」
はじめは元気いい、けれどだんだんネタ切れになる。
しまいには下を向いてモジモジ。
「俺には話の才能ないのかな‥」
毎日が勉強だ。
才能なんて言葉でごまかすのは努力が足りないからだ。
そんな簡単に喋れたら誰もがラジオ局に就職できるだろ。
基本的に俺は気分やなんだ。
上手くいくときは天国の気分、悪い時はこの世で一番のダメ男と思い込む。
勝手気ままな性格。
くやしいな、もっといいラジオ作りたいな。
答えがないってわかってる、けど上を目指したい。
あの頃、布団の中で僕の胸を熱くさせたラジオに憧れて。