走れ臆病者

トライアスロンまであと約一週間。
思い立ったのは一年前、峰岸徹さんのこの一言だった。
「人生楽しまなきゃな」
あれから走った。
自分の知らない自分を知るために。
そんな中デビューも決まり事務所に入る。
トライアスロンやりたいです」
社長やマネージャーの答えははっきりとしないものだった。
なぜ走る?
しかしここは強引に自分の決意を押し通した。
しかし二ヶ月前に足を痛め走れなくなった。
脳裏を駆け抜ける「挫折」という二文字。
しかし水泳など足をあまり使わないトレーニングに変え続けた。
そんな時電話が鳴った。
トライアスロンに新聞社の取材が入るわよ」
マネージャーから早口の伝言。
嘘だろ?
ただの趣味と思ってたトライアスロンに取材?
よく聞けばレコード会社の人まで大会当日来てくれるらしいのだ。
そして今日事務所に行った時だ、社長が言った。
「死ぬ気で完走しろよ!」
え〜!?
ちょっと前までしぶってたじゃ〜ん!
というわけで戸惑いと少しの望みを託し僕は飛行機に乗り込もうとしています。
石垣島よ、手加減してください。