夢の交差点

シェフ泣いてたなぁ。
緊張してたんだろな、お酒飲んで真っ赤な顔してた。
今日はラジオ生出演、それも僕がバイトやってたイタメシ屋からの中継。
風も強くて寒いのにみんな集まってくれた。
懐かしい顔から最近の顔まで、僕の思い出がオーバーヒートしそうなぐらい沢山の「久しぶり」があった。
みんな僕の顔を見てはニヤニヤしてた。
「こんな風になるなんて誰が想像しただろう?」
二十歳そこそこの青年が昔暴走族のシェフに出会い、「生き方にレシピはねー」って人生を教わり曲を作った。
ただそれだけのこと。
五年を経て今、その舞台となったイタ飯屋の前に僕とシェフがいる。
夢の交差点。
シェフ泣いてたなぁ。
あのつぶらな瞳の奥で何を見てたんだろ?